ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

ロシアの動画サイト、 Rutubeで RuTuberになろう

 ツイッターなどでロシア国営メディアのツイートが見づらくなっており、あんまりそういうツイートにいいねとかリツイートしていると私もアカウント停止をされるおそれがある。別に大して発信していないからいいのだが、情報収集と主流派の論調を探るためにはTwitterが一番便利なので、アカウントを停止されるのはやっぱり困ってしまう。

 以前はツイッターのアカウントはメールアドレスだけで作れたはずなのだが、ある時期から電話番号も入れないと登録できなくなった。昔のような気楽なインターネットはいずこ、という感じで、そうそうたくさんアカウントを作るのも難しいような状況になりつつあるので、できれば BANは避けたい。

 というわけで、TwitterGoogle Chromeなどに依存せずに情報を集めて発信するための方法をここのところずっと模索していたのだが、ロシア製のアプリケーションやソフトがいまのところ便利だ。代表的なものは Telegramだろう。トランプ大統領のアカウントや、サイモン・パークス、 Qなど、米国保守系の発信者のアカウントも多い。最近では日本語で発信されるアカウントも増えてきている。ツイッターのように BANもないので、自分のメモ用にリンクなどを置いておく用途でも便利だ。

telegram.org

 

 検索エンジン界隈にも変化があり、これまではDuckDuckGoがグーグルに替わる検閲のないエンジンとして有名だったが、同社のワインバーグCEOがロシア偽情報の検索結果の優先順位を下げていると認めたことで一気に評判を落とした。ネットミームではDuckDuckGoneというものも登場していた。なんであれ検索結果をいじっちゃいかんだろうと思う。

www.itmedia.co.jp

 

 まあ日本語圏はもとより、英語圏でもある程度有名になってくるとこういうことにならざるを得ないというのは仕方のないことなのかもしれない。

 

 そこで重要なのが英語がダメならロシア語やアラビア語をやればいいじゃない!という発想だ。私は10年くらい前からぼんやりと「もしかして、ドイツ語やフランス語、ロシア語とかアラビア語では当たり前に書いてある事実を無視してるから、世の中の議論っておかしなことになるんじゃなかろうか」と思っていた。

 

 だが当時はまだ大学生だったし、そういう比較文化論的なことにかまけるよりは金融の知識とかコンピュータ・サイエンスの知識を身につけたほうが「稼げる」んじゃないかと思っていたので、ロシア語をちょっと齧った程度でそれ以上は本格的に踏み込まなかった。それよりは、ファイナンス理論とかAIだとかベンチャー投資だとか、そういうことに詳しくなったほうがリッチになれる、ちょうど『ウォール街』のマイケルダグラスみたいになれると思っていたのだ。

 

 ところが世の中がこんなふうになってしまうと、主流派メディアで流布されている内容の欺瞞を見抜いて別の観点からの情報を手に入れていかなければ、稼ぐどころか平穏に生きていくこともままならない。そういうわけで、アラビア語の勉強をちゃんとはじめて(アラビア文字を覚えた)、ロシア語も復習しているのである。

 

 私は「基本的な文法・単語・構文を一通り覚え、辞書があれば文章が読めるレベルになれば十分」というふうに考えて、大学時代からフランス語やドイツ語を勉強してきた。その後ロシア語もキリル文字を覚えて、一通りの文法事項を覚えた。一時期は小島よしおの父親が経営している語学学校で、ロシア人の先生にマンツーマンで習っていたこともある。

 

 パンデミックまでは「そうはいっても、実用上は英語さえわかれば十分だよなあ」と呑気に思いながら過ごしていたが、今年のカザフスタンの暴動報道で英語圏の情報の大半も疑わしいことになった。中国とかアラブ圏のメディアだと思っていたいくつかの放送局で、デモを報じる動画に同じ男性が登場しているのを発見したのだ。いわゆるクライシスアクターで、これを自分で発見したことでそれまでの世界観が決定的に崩れてしまった。「英語で、西側とは異なる中国やアラブのサイトなら西側で報道されていない事実や見解にたどり着ける!」という仮説が崩壊してしまったのだ。

 

 それでロシア語やアラビア語で、つまり西側の金融資本化とは異なる勢力が運営していて、日本語圏・英語圏の読者がまず到達しないであろう情報源から、その原文にあたって情報収集しなければ世の中のことを決定的に見誤ってしまう、ということを痛切に感じたのである。大まかにはグーグル翻訳でもいいが、翻訳にかけられないテキストやウェブサイトもあるし、グーグルの翻訳が正確であるかどうかもわからない。動画サイトや画像ベースで貼られているもの、音声など、翻訳にかけられない情報もたくさんある。無理くりそれらを機械にかけるよりは、自分で理解できるようになってしまったほうが結果的に速道だろうということで、ロシア語やアラビア語の学習を自分でもしているし、読者にも奨めているわけである。田中宇氏は英文メディアの記事の濫読を通じて海外報道が日本とは違って世界の深層を伝えていると発見したが、私の場合はインターネットも普及して英語が所与のもと、さらにロシア語やアラビア語に対象範囲を広げていくという感じだ。

www.asyura2.com

 

 そういうわけで、ロシアの情報をまず得やすいソフトや環境を紹介していく。

 まずは検索エンジンのYandexで、これはブラウザもついている。

yandex.com

 「ブラウザなんか SafariChrome、Brave、Torを使うよ」と思う方も多いかもしれないが、ロシアの動画サイトを見るには体感でYandexブラウザが一番早い感じがする。

 その動画サイトがずばり「RuTube」で、YouTubeのロシア版だ。

rutube.ru

 ちなみに上のリンクの太字のロシア語は「ビデオホスティング Rutube. スマトリーチェ・ビデオ・オンライン、ベスプラートナ」と書いてある。スマトリーチェは「見る」、ベスプラートナは「無料で」という副詞だ。キリル文字で書いてあるだけで「ビデオホスティング」や「オンライン」など英語からそのまま入っている単語もロシア語には多く存在するので、そんなにめちゃくちゃ難しい言語というわけではない。

 当然ビデオはすべてロシア語だが、チャンネル1やRT、ノーバスチ、スプートニクなど各種放送局のニュースを見ることができる。

 またYouTuberならぬRutuberの娯楽コンテンツもたくさんあり、目についたもので面白かったのは「自宅にマクドナルドを開店する」というものだ。

 

rutube.ru

 

 この動画に登場する二名(ニキータジーマ)はもともとYouTuberとして活動していたようで、ダイニングの壁には金の盾が2枚も掲げられている。マクドナルドもYouTubeもロシアから撤退してしまったので、Rutubeで「自宅にマクドナルドを開店する」というネタができるというわけだ。

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自宅にマクドナルドを開店した:どれくらい稼いだ?

 とりあえずロシア語がどんなものかを知るのにも、Rutubeをしばらく見てみるのもおもしろいだろう。