ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

インフレのため、自給自足を旨とせよ

MacBook Proがインターネットに繋がらなくなる(Wi-Fiルーターには接続されるが、インターネットに出ていけない)という不具合があったのだが、バックアップを取って端末ごと初期化してOSをインストールしなおすという荒療治でどうにか治った。


結果から見れば、どうやら私が長年にわたって(といっても4年ぐらいだが)インストールしまくってきたさまざまなソフトウェア、とくにOneDriveやらアドビクリエイティブクラウドやらParallels desktopやら、ログインと同時にバックグラウンドで起動するアプリケーションが邪魔になっているらしい。またアンインストールしたソフトも、きちんと完全に消去できていなかったりして、それらが干渉することによってシステムの立ち上げ時にネットワーク設定がきちんとできなくなっていたということらしい。
それらのアプリケーションをアンインストールしようにも、アンインストーラ自体がネットからダウンロードする必要があるため、そもそもネットがなければアンインストールもできないというデッドロック状態に陥っていた。クラウド化とかSaaS化とか、こういうリスクが潜んでいるので完全クラウド化なんか自殺行為だと思う。私もしばらく前までクラウド信者だったのだがすっかり洗脳が解けてしまった。
 
さて、インターネットに接続できない症状はそれで治った。これまででもアップルに電話したり、何度も再起動・OS再インストールしたり、かなり手数はかかっているのだがどうにか治るには治った。
ところがまた新たに問題が発生した。バッテリーの問題だ。バッテリーが経年劣化して、フル充電できないうえに充電の減りが加速し、コンセントに繋いでいないと3〜4時間くらいでバッテリーが切れてしまう。アップルケアを見てみるとギリギリ保証期間がまだ残っていたので、バッテリーを交換することにした。AppleIDのサポートページから確認してみると、配送による修理はできず、Apple認定デベロッパに持ち込んで修理を依頼することになるらしい。自宅から車で10分くらいのイオンにカメラのKムラがあり、そこに持っていって修理を依頼することになると。この時点でも十分頭にくるのだが、仕方ないのでこの方法で修理をすることにした。
 
私は完全に「持っていって端末を預け、1時間くらいでその場でバッテリー交換の作業をして、終われば新しいバッテリーを積んだパソコンを持って帰れる」というふうに思い込んでいた。
そういう頭でわざわざカメラのKムラに行くと、どうみても修理できそうな人間がいないし、修理する場所や工房といったスペースもない。これを目の当たりにして、「やっぱりAppleのセンターに持っていくのを取り次ぐだけでは?」との考えが頭をよぎった。
案の定手続きを進めると、バッテリーの不具合があるという事実の検査はその場で行うのだが、いざ実際に交換する段になると「じゃあお預かりしますので一週間程度でまた取りにきてください」という話になった。一週間もかかる上に自宅に届けてもくれないのだ。しかも、修理に出すにあたってMacBookProをAppleIDの登録から一旦外す必要がある。端末がAppleIDに登録されていると「Macを探す」で端末の位置情報がわかるため、それを防ぐためにわざわざ登録を解除させられるのだ。
 
私はもはや腹を立てる気力も失せ、これ以上のコストをアップルに対してかけたくないという気持ちなので別に腹は立たないのだが、これが現実だ。
AppleMicrosoftも、パソコンではなく単なるアプライアンスを売る会社になった。つまり、すべては企業の側で管理していて客はそれを借りるだけみたいな状態になっている。
しかも管理にかかる手間やコストはすべて客の側に押し付けるような仕組みになっている。ちょっとした修理をするのにも時間も手間もかけさせられる。こんなに人を馬鹿にした話はない。
ひと昔前であれば、端末に不具合があればすぐに配送修理を頼んで、代替機などが送られてきたのだが、最近はそういうコストのかかることをどこもやらなくなっている。
 
こういう手間やコストが発生するのを防ぐためには、多少日常の手間が増えても自分の手で直せる端末とソフトウェアだけでコンピュータを構成するほかない。
アップル製品はたしかに便利だが、いざ問題が発生したときに手間と時間がかかりすぎる(さらに腹も立つ)。
もちろんいま使って順当に動いているものはそのまま使えばいいと思うが、同時にリスク分散のためにいろいろ備えることも必要だ。
Linuxマシンを用意しておくとか、電話や紙、メモなどで対応できるようにするとか、やっぱりそういう一見不便なツールも残しておかなければならない。
 
なんといってもひどいインフレのせいで、まともなサービスは受けられない状態になっている。アメリカではインフレーションに関する造語がいろいろ作られており、日本で言うステルス値上げに相当するシュリンクフレーション(包装のシュリンクと、内容量が少なくなるというシュリンクをかけている)や、サービスがひどくなるスキンプフレーション(スキンプというのはケチという意味で、要するにケチケチしているさま)などがツイッターでもよく見かける。
インフレの影響で、もう以前のような商品・サービスのクオリティを期待することはできない。悲しいがこれを現実として受け止めて、いろいろな商品・サービスに関しても
自給自足を旨としてものごとを考えていかなければならない。腹を立てても解決しない問題だ。経済のあり方はすっかり変わってしまった。
そんなことを象徴するバッテリー交換の顛末であった。ちゃんと無事に私のパソコンが帰ってくることを願うばかりである。