ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

ロシアは金本位制に回帰し、中国が後に続くだろう

ロシアは金本位制に回帰し、中国が後に続くだろう_Quoth the Raven/2022年5月3日

今回は下記の記事の翻訳の紹介です。いつもの通り、Google翻訳ではなく私自身の翻訳ですので、転載はご遠慮ください。

quoththeraven.substack.com

 

 ちなみにこのQuoth the Ravenという方は、ツイッターのフォロワーが約20万人いる、アメリカの有名なポッドキャスター・ブロガーです。
 Quoth the Ravenとは「大ガラス」の意で、アイコンも黒いカラスのものになっています。エドガー・アラン・ポーの小説の一節に"Quoth the Raven, nevermore!"というものがあり、そこから取られたペンネームであるようです。

 

翻訳はここからです。

ロシアは金本位制に回帰し、中国が後に続くだろう_Quoth the Raven/2022年5月3日

ロシアがどのようにしてゴールドに裏付けられたルーブルに回帰するのかについての記事を書いてまもなく、「プーチンに近い、ロシアで最も強力な安全保障/諜報機関の幹部」がそれを行う意図があると認めた。そして私は、この決定の重大さが最終的には西側にとっても徐々に理解されるや否や、中国がロシアの足跡を辿って同じことをするだろうと予想している。ゴールドによって裏付けられた通貨に回帰するロシアは、今後数十年間にわたる外国為替市場における最も劇的な変化の一つを象徴している。2022年以降、金本位制を採っている国は完全に一つもない。多くの国が準備金にゴールドを保有しているにもかかわらずである。

 

 新たなグローバル金融システムにおいては、一方にコモディティに裏付けられた堅実な通貨を持つロシア、中国、インド、サウジアラビアとその他の国々があり、もう一方にロケット外科医のニール・カシュカリの庇護のもとで「無限の」法定通貨を持つ西側とその同盟国がある。

 

 状況の異常さにも関わらず、あのニュースはいまだにグローバル市場によってきちんと消化されていない。外国為替市場は比較的穏やかだが、ルーブルが強くなり、ゴールド価格が今週は急落しているので、直近に満期を迎える先物は1オンスあたり50ドル近く下落し、1オンス1,860ドルほどまで戻してしまった。外国為替市場は別にしても、ロシアの金本位制の話はアメリカの政治家や金融の「思想リーダー」たちによっても消化されていない。しかしながら水面化では、積極的に耳をそば立てている人たちの注意を捉え始めている不平が出始めている。ロナン・マンリーはブリオンスター・ドットコムに先週次のように書いた:

 

4月26日火曜日、ロッシースカヤ・ガゼータ(RG)という新聞のインタビューにおいて、ロシア連邦安全保障理事会の幹部ニコライ・パトルーシェフが、ロシアの専門家たちが露ルーブルをゴールドやその他のコモディティで裏付けるためのプロジェクトに取り組んでいると発言した。

 

マンリーは親切にも、ロシアの金本位制への回帰に対する意図が水晶のように透明な明瞭さで述べられたRGのインタビューを翻訳してくれた。

 

RGの質問:ルーブルの独立主権性(sovereignty)を保証するために、我々は何をする必要があるでしょうか?

ニコライ・パトルーシェフ:いかなる国の金融システムも、独立主権性を維持するためには、その支払手段がドルにペッグされることなく本源的な価値を持ち、価格が安定している必要があります。いまや専門家たちが、科学コミュニティによって提案されたプロジェクトに取り組んでおり、2回路型の貨幣・金融システム(two-circuit monetary and financial system)を作り上げようとしています。とりわけ、ゴールド及び複数の貨幣的価値を持つ商品のグループによって裏付けられているべきルーブルの価値を定め、その為替レートを実質購買力平価に沿ったものにするということが提案されています。

 

マンリーは事実の問題として、次のように結論づけた。

 

だからわかったでしょう。ロシア政府はゴールド及びコモディティに裏付けられたルーブルを作ることに取り組んでおり、米ドルの周回軌道の外側にある本質的な価値を持った通貨にしようとしているのである。...我々が今目にしているのは、ニコライ・パトルーシェフとクレムリンが、ルーブルとゴールドや他のコモディティとリンクさせるシンプルな方程式を認めたということである。換言すれば、ゴールド及びコモディティに裏付けられた複本位的な通貨システム、つまりブレトンウッズ3の開始である。

 

マンリーの分析を一歩進めると、私は中国がそれほど遅れを取ることはないだろうと思う。

 

 昨年の夏、ウクライナ侵攻が始まる前、またインフレーションが問題となる前、私は中国にとってその新デジタル通貨をゴールドに紐づけることは最も常識的なシナリオだという記事を書いた。それはロシアが西側の金融政策に反旗を翻す前であり、世界全体がロシアを経済的にシャットダウンしようとする中でロシアから困窮した戦略原油資産を買うことに中国が興味を持つようになる前の話である。今やロシアと中国はこれまでにないほど接近しており、米国、西側及びNATOをコントロールするという彼らの利害関係においても、おそらくこれまでにないほど団結している。その間にも、ロシアが原油の支払にルーブルもしくはゴールドのみを受け入れる中、「デジタル人民元はすでに多くの中国の都市で試験運用されており、2021年の後半には80億ドル以上に相当する取引で使われた」とCNNが今年の初めに報道した。

 

像はまだ明らかではないだろうか?解き明かしてあげる必要があるだろうか?

 ここまでです。

 「ロケット外科医のニール・カシュカリ」というのはよくわかりませんが、元記事に掲載されていた動画を見るとFRBが「ドルは無限に刷れるからなんの心配もない」ということを主張しているのを揶揄しているような内容です。

 ニール・カシュカリという人はミネアポリス連銀の総裁で、rocketは文字通り「ロケット」で、スラングでたぶん「ぶっ飛んだ」という意味合いに使っていると考えると、マネーを刷ればいかなる経済的苦境も脱せるというぶっ飛んだ外科医、というようなニュアンスなのでしょう。

 どんな名医でも死んだ人を生き返らせることはできません。