ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

スタグフレーションがやってくる

スタグフレーションがやってくる(9月30日分再投稿)

 資源価格の世界的な高騰が続いている。アメリカでは8月29日に発生したカテゴリー4のハリケーン「イーダ」の影響で1日あたり170万バレルの生産が停止している。いまだにハリケーンによる被害からの回復には時間がかかっており、生産停止による供給の損失は最大3,000万バレルに達すると見込まれている。OPEC+による増産分も打ち消して、世界的な供給不足に拍車をかけている。

 欧州は石炭・石油による発電所を再稼働させている。欧州が冬に備えて備蓄を積み増そうとしているため、石炭も年末にかけて高値が続いていく。ロシアがヨーロッパに天然ガスを供給するためのラインであるヤマル・ヨーロッパパイプラインを経由した天然ガスの供給を絞っており、今週月曜から火曜にかけて半分以下に減らしている。オランダでもイギリスでも過去一ヶ月の間に電気料金が倍以上に跳ね上がった。イギリスでは小規模な電力会社が3社突然廃業し、約170万世帯が電力プロバイダの切り替えを余儀なくされている。新規に敷設しているパイプラインプロジェクトであるノルド・ストリーム2も、9月10日にパイプラインの敷設は完了したものの、本格的な稼働はまだだ。現時点では今年末を目指して準備が進められているが、反ロシアのEU国、たとえばポーランドなどによる稼働差し止め請求訴訟などが起こった場合には遅れることになる。(Russian gas supply via Yamal-Europe pipeline falls by more than half)(Extra OPEC oil production canceled out by hurricane Ida outages)(Above Water Tie-in for the Second Nord Stream 2 String Completed – The Offshore Part of the Second Line is Mechanically Completed

 中国では停電が相次いでいる。遼寧省吉林省黒竜江省では信号やエレベーターが機能していないことに住民が不満を漏らしている。北京五輪の開催時には北京に青空を取り戻したいという願望のために習近平カーボンニュートラルに真剣に取り組んでおり、そのために石炭供給が細っている。だがとうとう政府当局者が停電を回避するために「いかなる犠牲を払っても」石油を確保するようにと国営エネルギー企業に命令した。Source Beijingによればインテルクアルコム江蘇省の工場の稼働を停止しているようで、半導体不足もさらに深刻になっていく。資源高と半導体不足というサプライチェーンボトルネックによって、スタグフレーションが進展していく。日本でも、11月か12月くらいからマスコミで「スタグフレーション」ということで騒ぎ出すことだろう。(Source Beijing (@SourceBeijing))(Oil Prices Soar As Beijing Orders Energy Suppliers To Stock Up For Winter | OilPrice.com