ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

石炭価格も急騰中。コールオプションが必要か

ブルームバーグはドイツのSteag(シュティーク)発電所が石炭を使い果たしたと報じた。世界的なエネルギー危機の中で、石炭価格も高騰している。ヨーロッパはロシアに供給を求めているが、グリーンエネルギーに関する基準に合致した石炭をロシアは用意しなければならないため、いずれにしても供給に時間は要する状況に変わりはない。バンクオブアメリカ原油価格をバレルあたり100ドルと予想し、これが金融危機の引き金になりかねないと警告している。高い天然ガス価格が石油への需要を急増させ、特にディーゼルの需要を増やすという。

 行動制限の緩和も、航空機による移動のための原油需要を引き上げる要因となる。石油の200ドル、天然ガスの40ドルに引き続いて石炭のコールオプションも高騰しそうな気配だ。ロシアは欧州への天然ガスの供給を絞っているが、TurkStreamパイプラインを通じてハンガリークロアチアにはガスを供給し始めている。ノルドストリーム2は完成しているが、パイプラインが稼働するかどうかはまだ不確定だ。ドイツではノルドストリーム2プロジェクトに反対している緑の党が14.8%と躍進して連立政権を構成することが見込まれている。ガスプロムは「ノルドストリーム2が稼働すれば供給を増やせる」と述べており、ロシアの交渉力がますます強まっていく。(Energy Crisis Forces German Power Plant to Halt on Lack of Coal)(Bank of America: Energy Crunch Could Lead to 100 Oil and Economic Crisis)(Apart From Hungary, Gazprom Begins to Supply Gas Via TurkStream to Croatia

 電力価格が特に高騰しているのがイギリスとオランダだ。イギリスでは天然ガスの急騰を受けて電力価格が前月比で10%スパイクし、8月以降10社の電力会社が倒産した。さらに全体の4分の1に当たる数のガソリンスタンドでガソリンが枯渇している。オランダは世界二位の食糧輸出国であるが、電力価格の高騰によって温室の照明や空調を動作させることができず、ある温室の稼働率は50〜80%に留まっている。さらに運送に携わるドライバーも不足しているため、サプライチェーン全体が打撃を受けた状態になっている。食糧価格も上昇していくのは世界的な傾向だ。しかもこれは複数の国や通貨圏にわたる活動のため、どこかの中央銀行が介入すれば済むという話ではない。フランスでは消費者保護のために電力価格に関する税金を安くするなどの措置を導入すると発表した。フランスの電力需要の70%は原子力発電によるものであるため、天然ガス高騰の影響は英蘭ほどではない。だがフランスでは2018年から始まった「黄色いベスト」デモが最近再燃しており、来年4月に大統領選挙を控えているマクロン大統領は有権者の支持を得るためにそうした措置をパフォーマンスせざるを得ない状況になっている。(26% of UK Filling Stations Are Dry, Petrol Retailers Association Says)(France Begins "Price Protection" Measures To Shield Consumers From Soaring Energy Prices