ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

ロシアは金本位制に回帰し、中国が後に続くだろう

ロシアは金本位制に回帰し、中国が後に続くだろう_Quoth the Raven/2022年5月3日

今回は下記の記事の翻訳の紹介です。いつもの通り、Google翻訳ではなく私自身の翻訳ですので、転載はご遠慮ください。

quoththeraven.substack.com

 

 ちなみにこのQuoth the Ravenという方は、ツイッターのフォロワーが約20万人いる、アメリカの有名なポッドキャスター・ブロガーです。
 Quoth the Ravenとは「大ガラス」の意で、アイコンも黒いカラスのものになっています。エドガー・アラン・ポーの小説の一節に"Quoth the Raven, nevermore!"というものがあり、そこから取られたペンネームであるようです。

 

翻訳はここからです。

ロシアは金本位制に回帰し、中国が後に続くだろう_Quoth the Raven/2022年5月3日

ロシアがどのようにしてゴールドに裏付けられたルーブルに回帰するのかについての記事を書いてまもなく、「プーチンに近い、ロシアで最も強力な安全保障/諜報機関の幹部」がそれを行う意図があると認めた。そして私は、この決定の重大さが最終的には西側にとっても徐々に理解されるや否や、中国がロシアの足跡を辿って同じことをするだろうと予想している。ゴールドによって裏付けられた通貨に回帰するロシアは、今後数十年間にわたる外国為替市場における最も劇的な変化の一つを象徴している。2022年以降、金本位制を採っている国は完全に一つもない。多くの国が準備金にゴールドを保有しているにもかかわらずである。

 

 新たなグローバル金融システムにおいては、一方にコモディティに裏付けられた堅実な通貨を持つロシア、中国、インド、サウジアラビアとその他の国々があり、もう一方にロケット外科医のニール・カシュカリの庇護のもとで「無限の」法定通貨を持つ西側とその同盟国がある。

 

 状況の異常さにも関わらず、あのニュースはいまだにグローバル市場によってきちんと消化されていない。外国為替市場は比較的穏やかだが、ルーブルが強くなり、ゴールド価格が今週は急落しているので、直近に満期を迎える先物は1オンスあたり50ドル近く下落し、1オンス1,860ドルほどまで戻してしまった。外国為替市場は別にしても、ロシアの金本位制の話はアメリカの政治家や金融の「思想リーダー」たちによっても消化されていない。しかしながら水面化では、積極的に耳をそば立てている人たちの注意を捉え始めている不平が出始めている。ロナン・マンリーはブリオンスター・ドットコムに先週次のように書いた:

 

4月26日火曜日、ロッシースカヤ・ガゼータ(RG)という新聞のインタビューにおいて、ロシア連邦安全保障理事会の幹部ニコライ・パトルーシェフが、ロシアの専門家たちが露ルーブルをゴールドやその他のコモディティで裏付けるためのプロジェクトに取り組んでいると発言した。

 

マンリーは親切にも、ロシアの金本位制への回帰に対する意図が水晶のように透明な明瞭さで述べられたRGのインタビューを翻訳してくれた。

 

RGの質問:ルーブルの独立主権性(sovereignty)を保証するために、我々は何をする必要があるでしょうか?

ニコライ・パトルーシェフ:いかなる国の金融システムも、独立主権性を維持するためには、その支払手段がドルにペッグされることなく本源的な価値を持ち、価格が安定している必要があります。いまや専門家たちが、科学コミュニティによって提案されたプロジェクトに取り組んでおり、2回路型の貨幣・金融システム(two-circuit monetary and financial system)を作り上げようとしています。とりわけ、ゴールド及び複数の貨幣的価値を持つ商品のグループによって裏付けられているべきルーブルの価値を定め、その為替レートを実質購買力平価に沿ったものにするということが提案されています。

 

マンリーは事実の問題として、次のように結論づけた。

 

だからわかったでしょう。ロシア政府はゴールド及びコモディティに裏付けられたルーブルを作ることに取り組んでおり、米ドルの周回軌道の外側にある本質的な価値を持った通貨にしようとしているのである。...我々が今目にしているのは、ニコライ・パトルーシェフとクレムリンが、ルーブルとゴールドや他のコモディティとリンクさせるシンプルな方程式を認めたということである。換言すれば、ゴールド及びコモディティに裏付けられた複本位的な通貨システム、つまりブレトンウッズ3の開始である。

 

マンリーの分析を一歩進めると、私は中国がそれほど遅れを取ることはないだろうと思う。

 

 昨年の夏、ウクライナ侵攻が始まる前、またインフレーションが問題となる前、私は中国にとってその新デジタル通貨をゴールドに紐づけることは最も常識的なシナリオだという記事を書いた。それはロシアが西側の金融政策に反旗を翻す前であり、世界全体がロシアを経済的にシャットダウンしようとする中でロシアから困窮した戦略原油資産を買うことに中国が興味を持つようになる前の話である。今やロシアと中国はこれまでにないほど接近しており、米国、西側及びNATOをコントロールするという彼らの利害関係においても、おそらくこれまでにないほど団結している。その間にも、ロシアが原油の支払にルーブルもしくはゴールドのみを受け入れる中、「デジタル人民元はすでに多くの中国の都市で試験運用されており、2021年の後半には80億ドル以上に相当する取引で使われた」とCNNが今年の初めに報道した。

 

像はまだ明らかではないだろうか?解き明かしてあげる必要があるだろうか?

 ここまでです。

 「ロケット外科医のニール・カシュカリ」というのはよくわかりませんが、元記事に掲載されていた動画を見るとFRBが「ドルは無限に刷れるからなんの心配もない」ということを主張しているのを揶揄しているような内容です。

 ニール・カシュカリという人はミネアポリス連銀の総裁で、rocketは文字通り「ロケット」で、スラングでたぶん「ぶっ飛んだ」という意味合いに使っていると考えると、マネーを刷ればいかなる経済的苦境も脱せるというぶっ飛んだ外科医、というようなニュアンスなのでしょう。

 どんな名医でも死んだ人を生き返らせることはできません。

ラマダン明けの祝祭、エイド・アル・フィトルが開催中

2022年5月2日 アルジャジーラ

www.aljazeera.com

 

世界中のムスリムたちは3日間のエイド・アル・フィトルを祝っている。これはラマダーン断食月の終わりを告げるものだ。

エイド・アル・フィトル、または「断食を破るお祭り」は、新月を初めて見るところから始まり、その時期は国によってしばしば異なる。

祝典は、モスクや屋外での特別な早朝の祈りから始まり、それから饗宴に移っていく。

今年は、ウクライナにおける戦争によって悪化させられた世界的な食糧価格の高騰の最中にエイド・アル・フィトルがやってきた。そのような逆風に抗って、多くのムスリムは休日と各々の国におけるコロナ制限の緩和を楽しむ決心をしている。

しかし他の人々にとっては、この饗宴は紛争及び経済的困難によって損なわれている。

インドネシアの首都・ジャカルタの東南アジアで最大のイスティクラル・モスクでは、何万人ものムスリムが月曜日の朝に礼拝に参加した。同モスクはイスラム教で最も申請な期間が2020年のコロナウイルスパンデミックと同時期に発生したために閉鎖されており、昨年は地元の礼拝者に対しても閉じられていた。

 

 ここまでです。

 元記事には10枚の写真が掲載されているので、リンクからご覧ください。今年はコロナウイルス関連の規制が緩和されているため、多くのモスクに参拝者が殺到しているという状況のようです。

 ちなみに記事に出てくるインドネシアのイスティクラルモスクは、1978年に建造され、12万人を収容できる世界最大のモスクだそうです。インドネシアは世界最大のムスリム人口を誇る国としても知られます。イスティクラル(استقلال)はアラビア語で「独立」を意味するようです。

 

ロッコでも、パンデミック後初めて、集団での礼拝が許可されました。

パキスタンの様子。

イランの様子。

 

ペイパルの口座凍結が相次ぐ:個人事業主や企業も対策必要?

 ペイパルのアカウント凍結が相次いでいるようです。関連する記事を紹介します。なお、日本語としての読みやすさのためにグーグル翻訳の転載ではなく私自身の翻訳ですので、コピペ転載はご遠慮ください。

 

記事を読み上げた動画を投稿しています

youtu.be

 

記事の原文はこちらから:

caitlinjohnstone.substack.com

 

ペイパルが米帝国主義ナラティブに批判的な複数のオルタナティブメディア関係者をブロック_ケイトリン・ジョンストン/2022年4月29日

ウクライナ戦争の開始から加速する、シリコンバレーの反対意見を鎮圧する努力がさらにエスカレートしていくなかで、ペイパルは公式の米帝国主義ナラティブに批判的に反対意見を述べてきた複数のオルタナティブメディア関係者のアカウントをブロックした。これらの中にはミントプレスニュースのジャーナリストやコメンテーター、カレブ・マウピン、ムナール・アドレー、アラン・マクレオドが含まれる。

つい先日、ミントプレスはマクレオドによる「知的な飛行禁止区域:ウクライナへの異議に対するオンライン検閲は新たな常識となった」という素晴らしい記事を公開した。同記事は米国政府による出来事の解釈に対する疑念を、シリコンバレー・メガテック企業が抑圧する多くの方法について記録したものだった。その方法には帝国主義的ストーリーラインをオウム返しにしないYouTube動画の収益化停止による経済的検閲が含まれていた。

今日、ミントプレス及びマクレオドはPayPalの使用を禁止された。同サービスは多くのオンラインコンテンツのクリエイターが、作品をインターネット経由でファイナンスするのに依拠するようになっている。


ミントプレスは偶然にもPayPal自体に関しても批判的な記事を過去に公開していた。たとえば2018年にウィットニー・ウェッブにより公開されたこちらの記事では、PayPalに絡む胡散臭いビリオネア、ピーター・ティールとピエール・オミドヤールがアメリカ帝国の利益を増進させ、帝国主義的なナラティブコントロールを促進したそのやり口を報道し、2016年の別の記事では同社がパレスチナ人にはアカウントの開設を禁じ、一方で違法なイスラエルの占領者にはそのようなバイアスを見せなかったことを報道している。
私はミントプレスニュースのエグゼクティブ・ディレクターであるムナール・アドレーに、PayPalの動きに関してコメントを求めた。以下は彼女の返信全文である:

PayPalによる私及びミントプレスのアカウント停止は、反対意見を述べるジャーナリストやニュースサイトに対する野蛮な検閲です。過去10年間にわたってミントプレスは、イラクアフガニスタンリビアソマリアスーダンにおける戦争から、アパルトヘイトイスラエルによるパレスチナ占領、サウジアラビアによるイエメンにおける集団虐殺的な戦争、シリアにおける体制変革作戦、アメリカの武器が壊滅的な内戦に国民を押し流したウクライナベネズエラ・・・これらの永続戦争状態から利益を得る者たちを明らかにする監視人ジャーナリズムとして弁明なしに働いてきました。

アメリカ帝国が没落していく時代において検閲は、真実を消滅させ批判的思考を瀕死に追いやるための、流行の終わった体制とその永続戦争にとっての最終手段です。ウクライナにおける戦争が勃発するに伴って、我々は戦時に突入し、PayPalを含むビックテックの巨人たちは新冷戦の設計者たち自身と手に手を取って、反対意見を述べるジャーナリストたちを制裁してきました。グーグル、ツイッターフェイスブック、ペイパルのうち一社でもその取締役会に誰がいるのかを見れば、戦争屋のならず者の見本市に見えるでしょう。彼らの議題は明白です:情報の自由な流通を管理し、ペンタゴン国務省の公式ストーリーに疑問を呈する者は誰であれその銀行口座を狙うことです。

ウクライナにおける危機を含む新冷戦から直接的に利益を得る者たちから構成されているビッグテック企業が、あらゆるジャーナリストから活動資金を調達する能力を制限することができると言われるというのは法外な話です。ロシア、中国やイランでは当たり前だったと想像できますか?我々のメディアは言論の自由及び合衆国憲法修正第一項に関して叫ぶでしょう。しかし、我々がやるときは大丈夫なのです。なぜなら「ロシアのプロパガンダ」と戦うことを装っているからです。

我々は反体制的なジャーナリズムに対するオンライン検閲が新たな常識となった知的な飛行禁止区域の中で生きています。ロシア、ベネズエラジンバブエキューバ、イラン及び世界人口の25%以上を飢えさせようとしている米国の制裁措置は、いまや最大限の圧力キャンペーンによって自国民を標的にしています。そのため我々は今日のオルタナティブメディアのジャーナリストとして生き残るために、政府の公式見解に服することを余儀なくされています。

我々に対して戦争が起こされたとしても、我々は レイセオンロッキード・マーチンといった武器製造者と深い関係を持ち、世界中で何百万人もの人々が血を流すことによって利益を得るNATOと手を組んで働いている巨大テック企業によって角に追い詰められ、脅されることは拒否します。前に進む唯一の方法は、人々が党派性のない心でより広く団結し、自分たち自身のメディアに資金を出すことです。なぜなら我々は彼らよりも数が多いからです。」

 

PayPalアメリカのコメンテーター、ジャーナリストであるカレブ・マウピンもBANした。彼のツイッターアカウントは既に「ロシア州関係メディア」としての烙印を「アメリカ州関係メディア」プラットフォームによって押されている。

「なぜ現金取引ほど基本的なものが政治的な検閲に服さなければならないのか?」と、マウピンはコメントを求められた際に返答した。「独立国家に対する経済戦争は、言論の自由に対する戦争に代わってしまった。ライターやジャーナリストは食っていけなければならない。」

実際、当局によって認可されていないメディアの声を黙らせる非常に効果的な方法は、声を届けることによって生計を立てることを難しくするということである。経験から言って疑いなく、私のすべての時間と精神力を我が読者諸兄の気前のよい支援に支えられて作品に注ぐかわりに、どこかのオフィスで9時5時で働くことを強制されたらほんのわずかのコンテンツも作ることができないだろう。その資金へのアクセスから私を切り離すことは私を直接検閲するのと同じことだ。なぜなら私がやっていることを続ける方法は他にないからだ。

我々は人類史のなかで非常に危険で恐ろしい地点にいる。米国のウクライナにおけるロシアに対する代理戦争は日毎に激化し、ソロモン諸島と台湾をめぐる中国に対して戦争の太鼓がこれまでになくやかましく叩かれている。もしいま検閲を悪いと思うなら、この世界的な権力掌握が実際に始まるまで待つことだ。

 

 ここまでです。

 アカウントをブロックされたら残高はどうなるのかなぁと思っていろいろ見ていると、下記の記事を見つけて翻訳しましたので、ご紹介します。

 

consortiumnews.com

 

ペイパルがコンソーシアムニュースの口座を削除:残高も差押かもしれない_ジョー・ロウリア/2022年5月1日

オンライン決済システムのペイパルは、事前の警告もなく、なぜ口座が「永続的に制限」されるのかの説明も行わなかった。ペイパルはもし「適切である」と認められたなら、残高は返還されると述べた。

 

ペイパルはコンソーシアムニュース(以下、CN)の口座を何の事前警告や正当な手続きなしで、実質的に何の説明なしに削除した。

CNが本日春季調達ドライブ(訳注・資金調達計画のようなものでしょう)を立ち上げたところ、CNはその読者にとって支援を表明するもっとも重要な方法である寄付という手段を失った。我々のホームページにある黄色いペイパルの寄付ボタンをクリックすると、今や以下のメッセージが表示される。

 

「この組織は現在寄付を受け付ける資格がありません」(原文画像)

 

ペイパルはCNに以下のようなメールを送ってきた。

あなたはもはやペイパルを使うことはできません。...我々はあなたのアカウントにおいてユーザー同意書に反する行為を発見したため、もはやあなたにペイパルサービスを提供しません。...潜在的なリスクに晒されているため、我々はあなたのアカウントを永久に制限しました。あなたはもはやいかなる取引においても当該アカウントを使用することはできません

このメッセージは「あなたのペイパル残高に残っているお金は最大180日間保留されます」とし、その後は「もし適切だと認められれば、残っている金額を引き出す方法について記載したメールを送ります」と続いている。

CNのペイパルアカウントのページは現在似たようなメッセージを表示している。

 

「あなたはもはやペイパルを使うことはできません」(原文画像)

 

事前の通知も説明もなかった

事前の通知は送られてこなかったし、CNは適法な手続きの余地も与えられなかった。ペイパルのカスタマーサービスの担当者は日曜日の電話において、「バックオフィス」はアカウントを「永久に制限」することに関し、「CNの取引履歴の調査とレビューによって当該アカウントに関連づけられた潜在的なリスクを発見した」ということ以外にはっきりした理由を述べなかった。

担当者はCNの「潜在的なリスク」に関しては、「バックオフィスによってはっきりとは特定されなかった」と述べた。彼女はまた、「このアカウントの取引履歴と関係がある」と述べた。なにかしらの民間または公的な組織、あるいは個人がCNに関してペイパルに不満を述べたのかと尋ねたところ、カスタマーサービスの担当者は「そのような事例は見当たりません」と述べた。

担当者はなぜCNが通知も受け取らず手続きの余地もないのかということについて何も説明できなかったが、「バックオフィス」にCNに説明のために連絡するよう頼むということは約束した。

CNのペイパルアカウントに残っていた9,348ドル14セントの残高について、担当者は180日間の調査ののちにペイパルが返還するかどうか決定すると述べた。「もし規約違反があれば、」同残高はペイパルに対する「損害」のために保持されると担当者は述べた。ユーザー同意書の制限された活動のもとでの規約違反には、「誤った、不正確な、または誤解を招く情報」をペイパル、ペイパル利用者、または第三者に提供することが含まれている。

現在の政治状況を考えると、ますます強制される支配的なストーリーにそぐわない、CNによるウクライナにおける戦争に関する報道にペイパルが反応したということのほうがまだ理解可能だ。先週ペイパルはオルタナティブのニュースサイトであるミントプレスニュースのアカウントも凍結した。

ペイパルは1月にカリフォルニア州で、同様のアカウント閉鎖のために集団訴訟を起こされていた。

 ここまでです。

 

 オンラインの決済サービスにはこういう罠もあるということです。「私は反政府的なジャーナリストじゃないから別に関係ない」というふうにはいかない話だとも思います。単なる雑貨とか書籍とかを販売しているだけでも、なにかしらの「利用規約違反」があったとしてアカウントを止められてしまうことはどんな商品でもありうるでしょう。

 広報用のSNSアカウントを止められるだけならまだしも、売上や決済手段を凍結されるとそのまま倒産です。便利だからと依存しすぎず、決済方法や口座もなるべく分散するようにしたほうがいいのかもしれません。

日本人は今後どうやって生きていくべきなのか

 いろいろな状況を見るに、2025年ごろまでは大変革の時代が続くと思われる。

 2024年に米国でトランプ大統領が復活し、日本は新円切り替え。その準備段階としての疫病・飢饉・戦争・災害・インフレや金融危機。これらが断続的にやってきて、将来的には2020年から2025年は世界の覇権構造や社会システムが大変革を起こした激動の期間として記憶されるようになる。2025年まで息災であったなら、その後の新しい世界システムの中で平穏に暮らせるような期間が来るだろう。それまでなんとかして生き延びることが人類の課題であるだろう。

 2025年になって世界システムが変わったあと、さて日本人はどのように生きていけばいいのだろうか。産業構造や仕事のあり方は現在よりもさらに激変しているだろう。残念ながらITや金融の分野では日本/日本人は勝てない。ものづくりも、多くは中国やASEAN諸国の資本となっていくし、日本人自体がどんどん減っていく。勤勉さはロボットやAIに代替され、単なる手先の器用さでは他国に太刀打ちできる競争力たり得ないであろう。

 需要と供給という、経済の大原則に立ち返ってみよう。需要が旺盛なもの、供給が限られているものは価値が高い。日本人は減っていく。

 日本人が減っていくということは、日本語を母語とする話者も減るということだ。一方で、インド・ネパール・スリランカバングラデシュなどでは、日本語学習者が増加の一途を辿っている。シンプルな需給法則に従えば、日本語ネイティブの価値は高くなる。これは何もインドが親日国だとか日本人が人気だとかいう話ではなくて、純粋な需給バランスの問題としてだ。(India opens first training center for Japanese-language teachers

 別に日常会話や観光向けの表現などはどうでもいい。日本企業における商慣習やビジネスマナーを解説できる人材は貴重になるだろう。インド人が日本語を勉強する動機のほとんどは日本企業で職を得るということだ。日本語のネイティブスピーカーが、外国人には絶対に理解できないであろう「空気」や「忖度」などを解説し、対策を教示することにはかなりニーズがあるはずだ。

 この大変革の3年間において、日本語や日本文化を英語で説明できること、古文漢文などの素養を身につけることはきっと役に立つであろう。どのみち日本国内市場は先細り、海外に打って出ることは不可欠だ。さらに古文漢文を学び日本文化を見直すことは、直接仕事に繋がらなくとも自分自身の生活を文化的に、豊かにするだろう。

 

 

インフレのため、自給自足を旨とせよ

MacBook Proがインターネットに繋がらなくなる(Wi-Fiルーターには接続されるが、インターネットに出ていけない)という不具合があったのだが、バックアップを取って端末ごと初期化してOSをインストールしなおすという荒療治でどうにか治った。


結果から見れば、どうやら私が長年にわたって(といっても4年ぐらいだが)インストールしまくってきたさまざまなソフトウェア、とくにOneDriveやらアドビクリエイティブクラウドやらParallels desktopやら、ログインと同時にバックグラウンドで起動するアプリケーションが邪魔になっているらしい。またアンインストールしたソフトも、きちんと完全に消去できていなかったりして、それらが干渉することによってシステムの立ち上げ時にネットワーク設定がきちんとできなくなっていたということらしい。
それらのアプリケーションをアンインストールしようにも、アンインストーラ自体がネットからダウンロードする必要があるため、そもそもネットがなければアンインストールもできないというデッドロック状態に陥っていた。クラウド化とかSaaS化とか、こういうリスクが潜んでいるので完全クラウド化なんか自殺行為だと思う。私もしばらく前までクラウド信者だったのだがすっかり洗脳が解けてしまった。
 
さて、インターネットに接続できない症状はそれで治った。これまででもアップルに電話したり、何度も再起動・OS再インストールしたり、かなり手数はかかっているのだがどうにか治るには治った。
ところがまた新たに問題が発生した。バッテリーの問題だ。バッテリーが経年劣化して、フル充電できないうえに充電の減りが加速し、コンセントに繋いでいないと3〜4時間くらいでバッテリーが切れてしまう。アップルケアを見てみるとギリギリ保証期間がまだ残っていたので、バッテリーを交換することにした。AppleIDのサポートページから確認してみると、配送による修理はできず、Apple認定デベロッパに持ち込んで修理を依頼することになるらしい。自宅から車で10分くらいのイオンにカメラのKムラがあり、そこに持っていって修理を依頼することになると。この時点でも十分頭にくるのだが、仕方ないのでこの方法で修理をすることにした。
 
私は完全に「持っていって端末を預け、1時間くらいでその場でバッテリー交換の作業をして、終われば新しいバッテリーを積んだパソコンを持って帰れる」というふうに思い込んでいた。
そういう頭でわざわざカメラのKムラに行くと、どうみても修理できそうな人間がいないし、修理する場所や工房といったスペースもない。これを目の当たりにして、「やっぱりAppleのセンターに持っていくのを取り次ぐだけでは?」との考えが頭をよぎった。
案の定手続きを進めると、バッテリーの不具合があるという事実の検査はその場で行うのだが、いざ実際に交換する段になると「じゃあお預かりしますので一週間程度でまた取りにきてください」という話になった。一週間もかかる上に自宅に届けてもくれないのだ。しかも、修理に出すにあたってMacBookProをAppleIDの登録から一旦外す必要がある。端末がAppleIDに登録されていると「Macを探す」で端末の位置情報がわかるため、それを防ぐためにわざわざ登録を解除させられるのだ。
 
私はもはや腹を立てる気力も失せ、これ以上のコストをアップルに対してかけたくないという気持ちなので別に腹は立たないのだが、これが現実だ。
AppleMicrosoftも、パソコンではなく単なるアプライアンスを売る会社になった。つまり、すべては企業の側で管理していて客はそれを借りるだけみたいな状態になっている。
しかも管理にかかる手間やコストはすべて客の側に押し付けるような仕組みになっている。ちょっとした修理をするのにも時間も手間もかけさせられる。こんなに人を馬鹿にした話はない。
ひと昔前であれば、端末に不具合があればすぐに配送修理を頼んで、代替機などが送られてきたのだが、最近はそういうコストのかかることをどこもやらなくなっている。
 
こういう手間やコストが発生するのを防ぐためには、多少日常の手間が増えても自分の手で直せる端末とソフトウェアだけでコンピュータを構成するほかない。
アップル製品はたしかに便利だが、いざ問題が発生したときに手間と時間がかかりすぎる(さらに腹も立つ)。
もちろんいま使って順当に動いているものはそのまま使えばいいと思うが、同時にリスク分散のためにいろいろ備えることも必要だ。
Linuxマシンを用意しておくとか、電話や紙、メモなどで対応できるようにするとか、やっぱりそういう一見不便なツールも残しておかなければならない。
 
なんといってもひどいインフレのせいで、まともなサービスは受けられない状態になっている。アメリカではインフレーションに関する造語がいろいろ作られており、日本で言うステルス値上げに相当するシュリンクフレーション(包装のシュリンクと、内容量が少なくなるというシュリンクをかけている)や、サービスがひどくなるスキンプフレーション(スキンプというのはケチという意味で、要するにケチケチしているさま)などがツイッターでもよく見かける。
インフレの影響で、もう以前のような商品・サービスのクオリティを期待することはできない。悲しいがこれを現実として受け止めて、いろいろな商品・サービスに関しても
自給自足を旨としてものごとを考えていかなければならない。腹を立てても解決しない問題だ。経済のあり方はすっかり変わってしまった。
そんなことを象徴するバッテリー交換の顛末であった。ちゃんと無事に私のパソコンが帰ってくることを願うばかりである。

ロシアの動画サイト、 Rutubeで RuTuberになろう

 ツイッターなどでロシア国営メディアのツイートが見づらくなっており、あんまりそういうツイートにいいねとかリツイートしていると私もアカウント停止をされるおそれがある。別に大して発信していないからいいのだが、情報収集と主流派の論調を探るためにはTwitterが一番便利なので、アカウントを停止されるのはやっぱり困ってしまう。

 以前はツイッターのアカウントはメールアドレスだけで作れたはずなのだが、ある時期から電話番号も入れないと登録できなくなった。昔のような気楽なインターネットはいずこ、という感じで、そうそうたくさんアカウントを作るのも難しいような状況になりつつあるので、できれば BANは避けたい。

 というわけで、TwitterGoogle Chromeなどに依存せずに情報を集めて発信するための方法をここのところずっと模索していたのだが、ロシア製のアプリケーションやソフトがいまのところ便利だ。代表的なものは Telegramだろう。トランプ大統領のアカウントや、サイモン・パークス、 Qなど、米国保守系の発信者のアカウントも多い。最近では日本語で発信されるアカウントも増えてきている。ツイッターのように BANもないので、自分のメモ用にリンクなどを置いておく用途でも便利だ。

telegram.org

 

 検索エンジン界隈にも変化があり、これまではDuckDuckGoがグーグルに替わる検閲のないエンジンとして有名だったが、同社のワインバーグCEOがロシア偽情報の検索結果の優先順位を下げていると認めたことで一気に評判を落とした。ネットミームではDuckDuckGoneというものも登場していた。なんであれ検索結果をいじっちゃいかんだろうと思う。

www.itmedia.co.jp

 

 まあ日本語圏はもとより、英語圏でもある程度有名になってくるとこういうことにならざるを得ないというのは仕方のないことなのかもしれない。

 

 そこで重要なのが英語がダメならロシア語やアラビア語をやればいいじゃない!という発想だ。私は10年くらい前からぼんやりと「もしかして、ドイツ語やフランス語、ロシア語とかアラビア語では当たり前に書いてある事実を無視してるから、世の中の議論っておかしなことになるんじゃなかろうか」と思っていた。

 

 だが当時はまだ大学生だったし、そういう比較文化論的なことにかまけるよりは金融の知識とかコンピュータ・サイエンスの知識を身につけたほうが「稼げる」んじゃないかと思っていたので、ロシア語をちょっと齧った程度でそれ以上は本格的に踏み込まなかった。それよりは、ファイナンス理論とかAIだとかベンチャー投資だとか、そういうことに詳しくなったほうがリッチになれる、ちょうど『ウォール街』のマイケルダグラスみたいになれると思っていたのだ。

 

 ところが世の中がこんなふうになってしまうと、主流派メディアで流布されている内容の欺瞞を見抜いて別の観点からの情報を手に入れていかなければ、稼ぐどころか平穏に生きていくこともままならない。そういうわけで、アラビア語の勉強をちゃんとはじめて(アラビア文字を覚えた)、ロシア語も復習しているのである。

 

 私は「基本的な文法・単語・構文を一通り覚え、辞書があれば文章が読めるレベルになれば十分」というふうに考えて、大学時代からフランス語やドイツ語を勉強してきた。その後ロシア語もキリル文字を覚えて、一通りの文法事項を覚えた。一時期は小島よしおの父親が経営している語学学校で、ロシア人の先生にマンツーマンで習っていたこともある。

 

 パンデミックまでは「そうはいっても、実用上は英語さえわかれば十分だよなあ」と呑気に思いながら過ごしていたが、今年のカザフスタンの暴動報道で英語圏の情報の大半も疑わしいことになった。中国とかアラブ圏のメディアだと思っていたいくつかの放送局で、デモを報じる動画に同じ男性が登場しているのを発見したのだ。いわゆるクライシスアクターで、これを自分で発見したことでそれまでの世界観が決定的に崩れてしまった。「英語で、西側とは異なる中国やアラブのサイトなら西側で報道されていない事実や見解にたどり着ける!」という仮説が崩壊してしまったのだ。

 

 それでロシア語やアラビア語で、つまり西側の金融資本化とは異なる勢力が運営していて、日本語圏・英語圏の読者がまず到達しないであろう情報源から、その原文にあたって情報収集しなければ世の中のことを決定的に見誤ってしまう、ということを痛切に感じたのである。大まかにはグーグル翻訳でもいいが、翻訳にかけられないテキストやウェブサイトもあるし、グーグルの翻訳が正確であるかどうかもわからない。動画サイトや画像ベースで貼られているもの、音声など、翻訳にかけられない情報もたくさんある。無理くりそれらを機械にかけるよりは、自分で理解できるようになってしまったほうが結果的に速道だろうということで、ロシア語やアラビア語の学習を自分でもしているし、読者にも奨めているわけである。田中宇氏は英文メディアの記事の濫読を通じて海外報道が日本とは違って世界の深層を伝えていると発見したが、私の場合はインターネットも普及して英語が所与のもと、さらにロシア語やアラビア語に対象範囲を広げていくという感じだ。

www.asyura2.com

 

 そういうわけで、ロシアの情報をまず得やすいソフトや環境を紹介していく。

 まずは検索エンジンのYandexで、これはブラウザもついている。

yandex.com

 「ブラウザなんか SafariChrome、Brave、Torを使うよ」と思う方も多いかもしれないが、ロシアの動画サイトを見るには体感でYandexブラウザが一番早い感じがする。

 その動画サイトがずばり「RuTube」で、YouTubeのロシア版だ。

rutube.ru

 ちなみに上のリンクの太字のロシア語は「ビデオホスティング Rutube. スマトリーチェ・ビデオ・オンライン、ベスプラートナ」と書いてある。スマトリーチェは「見る」、ベスプラートナは「無料で」という副詞だ。キリル文字で書いてあるだけで「ビデオホスティング」や「オンライン」など英語からそのまま入っている単語もロシア語には多く存在するので、そんなにめちゃくちゃ難しい言語というわけではない。

 当然ビデオはすべてロシア語だが、チャンネル1やRT、ノーバスチ、スプートニクなど各種放送局のニュースを見ることができる。

 またYouTuberならぬRutuberの娯楽コンテンツもたくさんあり、目についたもので面白かったのは「自宅にマクドナルドを開店する」というものだ。

 

rutube.ru

 

 この動画に登場する二名(ニキータジーマ)はもともとYouTuberとして活動していたようで、ダイニングの壁には金の盾が2枚も掲げられている。マクドナルドもYouTubeもロシアから撤退してしまったので、Rutubeで「自宅にマクドナルドを開店する」というネタができるというわけだ。

f:id:WorldInfo:20220324024051p:plain

自宅にマクドナルドを開店した:どれくらい稼いだ?

 とりあえずロシア語がどんなものかを知るのにも、Rutubeをしばらく見てみるのもおもしろいだろう。

 

多極化する世界で生き残るには、やっぱり語学力

 最近の日本語の報道は本当に酷い。まあ以前からそうなのだが、日本語では重要な情報はほぼ手に入らないと思っていたほうがいい。一昔前までは英語で情報収集すればよかった。日本語では手に入らない情報でも英語ならあっけらかんと書いてあることが多かった。

 

 ところが、ロシアのウクライナ攻撃以後、大手英語メディアでも平気でガセネタ・偽情報を流していることが明らかになった。ロシアがウクライナを攻撃し、そのために大けがを負った人や破壊された建物、避難する人々を写したとされる映像や画像が多く出回っているが、中には昔の映画から取られたクリップや全く別の事件の画像がそのまま流用されているものが多く含まれていることが明らかになり、マスメディアの信頼性は地に墜ちている。

 

 さらにロシア国営放送のYouTubeアカウントがBANされたり、Twitterでもツイートに警告が表示されたりするようになった。ロシア国営メディアといえばスプートニクやTASS、RTなどだが、これらのTwitterアカウントが投稿したツイートをいいねしたりリツイートしたりする際にも警告が表示される有様となっている。確認できるよりも前に削除されたりBANされたり、こっそり非表示になっている情報ももっとたくさんあるのだろう。また投稿できても、リンク先に遷移できなかったりする場合がある。

 

 戦争に関してはロシア側・ウクライナNATO側それぞれ言い分がありどちらが正しいかはいち民間人の私にはわからないので何も言わないが、あからさまにウソを流していること自体は明らかだ。我々としては、ロシアやウクライナについて云々するよりも生活や仕事に与える影響を正しく見抜いて対策を立てるほかないのだが、その情報が入手しづらい状況になってしまっている。

 

 もちろんロシア国営メディアの発信する情報が正しい、というわけでもない。しかし、双方がある問題についてどのような発信をしているか、ということから真相が明らかになってくる、という観点からすれば、広く様々な視点・立場からの情報に自由にアクセスできる状況が維持されるべきだ。そして、TwitterYouTubeFacebookなどのSNS上では自由に情報にアクセスできる状態ではもはやない、ということだ。これはこれらの会社が所詮は広告業であり、広告主=スポンサーにとって不都合な情報は表示しないというビジネス上の判断であって、それ自体は責められたものではないだろう。

 

 だから有料の文章や書籍を買えばいいかといえばそういうわけでもない、というのがまた難しいところで、書籍として販売するからにはある程度採算が取れる見込みがなければ成立せず、一般的に認知されている内容の情報でなければそもそも本が売られていても読者がつかない。というわけで、大手マスコミの報道に乗っかる形で、既存の世界観や価値観を追認する内容の本ばかり出ることになる。その中からどういうものを選べばいいのか・・・という新たな問題が噴出するのである。

 

 そういう問題を一挙に解決する方法は、「インターネットで海外のサイトを見る」ということに尽きる。海外のサイトといっても玉石混淆なので、私が考えているのはその国の公的機関が発信している情報だ。たとえば今回の問題でいえばロシア外務省やウクライナ外務省、アメリカ政府やドイツ政府の声明やプレスリリースなどだ。報道機関のネタ元もたいていはこういう公式発表なので、報道を見てあたりをつけ、情報元に自分でアクセスして見ることが、理論上は一番信頼できると思う。もちろん日々どれくらいそういう活動に時間を割くか、というのは個々人の状況に応じてという話になるが。

 

 そしてできれば英語に翻訳されたものや、グーグル翻訳で日本語にしたものではなく、原文を読めるようになりたい。英語や翻訳ではニュアンスが異なってしまうからで、例えば日本語の文章を英語に訳して、意味としてはまあまあ同じでも言いたいことが言い尽くせているかといえば微妙になるだろう。ロシア大統領府はプーチンの演説の原稿を英訳したものを載せているが、これよりはロシア語の原文に当たるべきだろうし、ましてやグーグル翻訳では大まかなことしかわからないだろう。

 

 かといって、無限に語学を勉強するわけにもいかない。日々自分の生活や仕事もある。どの言語をやればいいのか?ということになるだろう。私の考えとしては、これから勉強するべき言語としては①ロシア語②アラビア語③中国語だと思っている。

 

 アメリカの覇権が終わったあとはロシアと中国の時代が来る。これはほぼ確定で、この前提が受け容れられないなら、私の文章を読むのをやめて全財産を米ドルに換えてS&P500のETFでも買えばいいと思う。答えは市場が出すだろうから。私は経済学部出身なので、神学論争やイデオロギーには興味ない。あれこれ空理空論を並べ立てても、経済の実体に優る理屈はありえないと思っている。ロシアと中国が経済大国になった場合に、日本企業でも対ロシア・対中国ビジネスが活発になり、ロシア・中国の政府や大企業からロシア語・中国語で発信される情報を正しく読み解けることが非常に重要になってくる。

 

 また、アラビア語はなぜかというと中東・北アフリカで今後経済成長が見込まれるからだ。さらに2050年にはムスリムの数がキリスト教徒を上回るという可能性も指摘されており、アラビア語の重要性が増してくる。さらに日本語・英語などで得られる情報はほとんどがキリスト教圏におけるものだが、アラビア語ができればムスリムから見た世界情勢、つまりディープな情報が取れるようになる。単純にアラビア語の翻訳とかだけでも十分食えるようになると思うが、そういう楽しみもある。

 

 あるサイトに、日本国内で各言語を学習している人の数を推定しているものがあった。このサイトによれば、アラビア語の学習者は500人前後、ロシア語の学習者は1,000人前後、中国語は3万人程度となっている。中国語がおすすめ3位なのは他に勉強している日本人が多いからだ。アラビア語・ロシア語は学習のコストは非常に高く、参入障壁がかなり高いので、一旦身につけてしまえばかなりアドバンテージになるだろう。

 

 ではどのように学習すればいいのかということだが、基本的には

 ①文字を覚える(アラビア文字キリル文字

 ②例文をひたすら暗唱、暗唱しながら紙に書き出す

の繰り返しである。別に高価なスクールやマンツーマンのレッスンを受ける必要はない。ちょうど寺子屋論語を暗唱するように、原文をただただ暗唱すればいいのである。アプリとかパソコンさえ必要ない。

 

では何をとっかかりにすればいいかといえば、東京外国語大学でテキストや音声が公開されているもの(東外大言語モジュール)があるので、これを用いると良いだろう。慣れてきたら、好みの新聞記事や政治家の演説なんかをネットで拾ってきて、それを暗唱・暗記する。

 

東外大言語モジュール

 

 このサイトを見ながら、例文を自分で書き出し、暗唱する。こういう地道な学習が結局は一番役に立つ。とはいえ、アラビア文字キリル文字はとっかかりが難しすぎると思うので、いくつか入門的な動画を私も作ろうと思うが、基本的な学習の方針は今回述べたとおりである。