ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

ペイパルの口座凍結が相次ぐ:個人事業主や企業も対策必要?

 ペイパルのアカウント凍結が相次いでいるようです。関連する記事を紹介します。なお、日本語としての読みやすさのためにグーグル翻訳の転載ではなく私自身の翻訳ですので、コピペ転載はご遠慮ください。

 

記事を読み上げた動画を投稿しています

youtu.be

 

記事の原文はこちらから:

caitlinjohnstone.substack.com

 

ペイパルが米帝国主義ナラティブに批判的な複数のオルタナティブメディア関係者をブロック_ケイトリン・ジョンストン/2022年4月29日

ウクライナ戦争の開始から加速する、シリコンバレーの反対意見を鎮圧する努力がさらにエスカレートしていくなかで、ペイパルは公式の米帝国主義ナラティブに批判的に反対意見を述べてきた複数のオルタナティブメディア関係者のアカウントをブロックした。これらの中にはミントプレスニュースのジャーナリストやコメンテーター、カレブ・マウピン、ムナール・アドレー、アラン・マクレオドが含まれる。

つい先日、ミントプレスはマクレオドによる「知的な飛行禁止区域:ウクライナへの異議に対するオンライン検閲は新たな常識となった」という素晴らしい記事を公開した。同記事は米国政府による出来事の解釈に対する疑念を、シリコンバレー・メガテック企業が抑圧する多くの方法について記録したものだった。その方法には帝国主義的ストーリーラインをオウム返しにしないYouTube動画の収益化停止による経済的検閲が含まれていた。

今日、ミントプレス及びマクレオドはPayPalの使用を禁止された。同サービスは多くのオンラインコンテンツのクリエイターが、作品をインターネット経由でファイナンスするのに依拠するようになっている。


ミントプレスは偶然にもPayPal自体に関しても批判的な記事を過去に公開していた。たとえば2018年にウィットニー・ウェッブにより公開されたこちらの記事では、PayPalに絡む胡散臭いビリオネア、ピーター・ティールとピエール・オミドヤールがアメリカ帝国の利益を増進させ、帝国主義的なナラティブコントロールを促進したそのやり口を報道し、2016年の別の記事では同社がパレスチナ人にはアカウントの開設を禁じ、一方で違法なイスラエルの占領者にはそのようなバイアスを見せなかったことを報道している。
私はミントプレスニュースのエグゼクティブ・ディレクターであるムナール・アドレーに、PayPalの動きに関してコメントを求めた。以下は彼女の返信全文である:

PayPalによる私及びミントプレスのアカウント停止は、反対意見を述べるジャーナリストやニュースサイトに対する野蛮な検閲です。過去10年間にわたってミントプレスは、イラクアフガニスタンリビアソマリアスーダンにおける戦争から、アパルトヘイトイスラエルによるパレスチナ占領、サウジアラビアによるイエメンにおける集団虐殺的な戦争、シリアにおける体制変革作戦、アメリカの武器が壊滅的な内戦に国民を押し流したウクライナベネズエラ・・・これらの永続戦争状態から利益を得る者たちを明らかにする監視人ジャーナリズムとして弁明なしに働いてきました。

アメリカ帝国が没落していく時代において検閲は、真実を消滅させ批判的思考を瀕死に追いやるための、流行の終わった体制とその永続戦争にとっての最終手段です。ウクライナにおける戦争が勃発するに伴って、我々は戦時に突入し、PayPalを含むビックテックの巨人たちは新冷戦の設計者たち自身と手に手を取って、反対意見を述べるジャーナリストたちを制裁してきました。グーグル、ツイッターフェイスブック、ペイパルのうち一社でもその取締役会に誰がいるのかを見れば、戦争屋のならず者の見本市に見えるでしょう。彼らの議題は明白です:情報の自由な流通を管理し、ペンタゴン国務省の公式ストーリーに疑問を呈する者は誰であれその銀行口座を狙うことです。

ウクライナにおける危機を含む新冷戦から直接的に利益を得る者たちから構成されているビッグテック企業が、あらゆるジャーナリストから活動資金を調達する能力を制限することができると言われるというのは法外な話です。ロシア、中国やイランでは当たり前だったと想像できますか?我々のメディアは言論の自由及び合衆国憲法修正第一項に関して叫ぶでしょう。しかし、我々がやるときは大丈夫なのです。なぜなら「ロシアのプロパガンダ」と戦うことを装っているからです。

我々は反体制的なジャーナリズムに対するオンライン検閲が新たな常識となった知的な飛行禁止区域の中で生きています。ロシア、ベネズエラジンバブエキューバ、イラン及び世界人口の25%以上を飢えさせようとしている米国の制裁措置は、いまや最大限の圧力キャンペーンによって自国民を標的にしています。そのため我々は今日のオルタナティブメディアのジャーナリストとして生き残るために、政府の公式見解に服することを余儀なくされています。

我々に対して戦争が起こされたとしても、我々は レイセオンロッキード・マーチンといった武器製造者と深い関係を持ち、世界中で何百万人もの人々が血を流すことによって利益を得るNATOと手を組んで働いている巨大テック企業によって角に追い詰められ、脅されることは拒否します。前に進む唯一の方法は、人々が党派性のない心でより広く団結し、自分たち自身のメディアに資金を出すことです。なぜなら我々は彼らよりも数が多いからです。」

 

PayPalアメリカのコメンテーター、ジャーナリストであるカレブ・マウピンもBANした。彼のツイッターアカウントは既に「ロシア州関係メディア」としての烙印を「アメリカ州関係メディア」プラットフォームによって押されている。

「なぜ現金取引ほど基本的なものが政治的な検閲に服さなければならないのか?」と、マウピンはコメントを求められた際に返答した。「独立国家に対する経済戦争は、言論の自由に対する戦争に代わってしまった。ライターやジャーナリストは食っていけなければならない。」

実際、当局によって認可されていないメディアの声を黙らせる非常に効果的な方法は、声を届けることによって生計を立てることを難しくするということである。経験から言って疑いなく、私のすべての時間と精神力を我が読者諸兄の気前のよい支援に支えられて作品に注ぐかわりに、どこかのオフィスで9時5時で働くことを強制されたらほんのわずかのコンテンツも作ることができないだろう。その資金へのアクセスから私を切り離すことは私を直接検閲するのと同じことだ。なぜなら私がやっていることを続ける方法は他にないからだ。

我々は人類史のなかで非常に危険で恐ろしい地点にいる。米国のウクライナにおけるロシアに対する代理戦争は日毎に激化し、ソロモン諸島と台湾をめぐる中国に対して戦争の太鼓がこれまでになくやかましく叩かれている。もしいま検閲を悪いと思うなら、この世界的な権力掌握が実際に始まるまで待つことだ。

 

 ここまでです。

 アカウントをブロックされたら残高はどうなるのかなぁと思っていろいろ見ていると、下記の記事を見つけて翻訳しましたので、ご紹介します。

 

consortiumnews.com

 

ペイパルがコンソーシアムニュースの口座を削除:残高も差押かもしれない_ジョー・ロウリア/2022年5月1日

オンライン決済システムのペイパルは、事前の警告もなく、なぜ口座が「永続的に制限」されるのかの説明も行わなかった。ペイパルはもし「適切である」と認められたなら、残高は返還されると述べた。

 

ペイパルはコンソーシアムニュース(以下、CN)の口座を何の事前警告や正当な手続きなしで、実質的に何の説明なしに削除した。

CNが本日春季調達ドライブ(訳注・資金調達計画のようなものでしょう)を立ち上げたところ、CNはその読者にとって支援を表明するもっとも重要な方法である寄付という手段を失った。我々のホームページにある黄色いペイパルの寄付ボタンをクリックすると、今や以下のメッセージが表示される。

 

「この組織は現在寄付を受け付ける資格がありません」(原文画像)

 

ペイパルはCNに以下のようなメールを送ってきた。

あなたはもはやペイパルを使うことはできません。...我々はあなたのアカウントにおいてユーザー同意書に反する行為を発見したため、もはやあなたにペイパルサービスを提供しません。...潜在的なリスクに晒されているため、我々はあなたのアカウントを永久に制限しました。あなたはもはやいかなる取引においても当該アカウントを使用することはできません

このメッセージは「あなたのペイパル残高に残っているお金は最大180日間保留されます」とし、その後は「もし適切だと認められれば、残っている金額を引き出す方法について記載したメールを送ります」と続いている。

CNのペイパルアカウントのページは現在似たようなメッセージを表示している。

 

「あなたはもはやペイパルを使うことはできません」(原文画像)

 

事前の通知も説明もなかった

事前の通知は送られてこなかったし、CNは適法な手続きの余地も与えられなかった。ペイパルのカスタマーサービスの担当者は日曜日の電話において、「バックオフィス」はアカウントを「永久に制限」することに関し、「CNの取引履歴の調査とレビューによって当該アカウントに関連づけられた潜在的なリスクを発見した」ということ以外にはっきりした理由を述べなかった。

担当者はCNの「潜在的なリスク」に関しては、「バックオフィスによってはっきりとは特定されなかった」と述べた。彼女はまた、「このアカウントの取引履歴と関係がある」と述べた。なにかしらの民間または公的な組織、あるいは個人がCNに関してペイパルに不満を述べたのかと尋ねたところ、カスタマーサービスの担当者は「そのような事例は見当たりません」と述べた。

担当者はなぜCNが通知も受け取らず手続きの余地もないのかということについて何も説明できなかったが、「バックオフィス」にCNに説明のために連絡するよう頼むということは約束した。

CNのペイパルアカウントに残っていた9,348ドル14セントの残高について、担当者は180日間の調査ののちにペイパルが返還するかどうか決定すると述べた。「もし規約違反があれば、」同残高はペイパルに対する「損害」のために保持されると担当者は述べた。ユーザー同意書の制限された活動のもとでの規約違反には、「誤った、不正確な、または誤解を招く情報」をペイパル、ペイパル利用者、または第三者に提供することが含まれている。

現在の政治状況を考えると、ますます強制される支配的なストーリーにそぐわない、CNによるウクライナにおける戦争に関する報道にペイパルが反応したということのほうがまだ理解可能だ。先週ペイパルはオルタナティブのニュースサイトであるミントプレスニュースのアカウントも凍結した。

ペイパルは1月にカリフォルニア州で、同様のアカウント閉鎖のために集団訴訟を起こされていた。

 ここまでです。

 

 オンラインの決済サービスにはこういう罠もあるということです。「私は反政府的なジャーナリストじゃないから別に関係ない」というふうにはいかない話だとも思います。単なる雑貨とか書籍とかを販売しているだけでも、なにかしらの「利用規約違反」があったとしてアカウントを止められてしまうことはどんな商品でもありうるでしょう。

 広報用のSNSアカウントを止められるだけならまだしも、売上や決済手段を凍結されるとそのまま倒産です。便利だからと依存しすぎず、決済方法や口座もなるべく分散するようにしたほうがいいのかもしれません。