ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

多極化する世界で生き残るには、やっぱり語学力

 最近の日本語の報道は本当に酷い。まあ以前からそうなのだが、日本語では重要な情報はほぼ手に入らないと思っていたほうがいい。一昔前までは英語で情報収集すればよかった。日本語では手に入らない情報でも英語ならあっけらかんと書いてあることが多かった。

 

 ところが、ロシアのウクライナ攻撃以後、大手英語メディアでも平気でガセネタ・偽情報を流していることが明らかになった。ロシアがウクライナを攻撃し、そのために大けがを負った人や破壊された建物、避難する人々を写したとされる映像や画像が多く出回っているが、中には昔の映画から取られたクリップや全く別の事件の画像がそのまま流用されているものが多く含まれていることが明らかになり、マスメディアの信頼性は地に墜ちている。

 

 さらにロシア国営放送のYouTubeアカウントがBANされたり、Twitterでもツイートに警告が表示されたりするようになった。ロシア国営メディアといえばスプートニクやTASS、RTなどだが、これらのTwitterアカウントが投稿したツイートをいいねしたりリツイートしたりする際にも警告が表示される有様となっている。確認できるよりも前に削除されたりBANされたり、こっそり非表示になっている情報ももっとたくさんあるのだろう。また投稿できても、リンク先に遷移できなかったりする場合がある。

 

 戦争に関してはロシア側・ウクライナNATO側それぞれ言い分がありどちらが正しいかはいち民間人の私にはわからないので何も言わないが、あからさまにウソを流していること自体は明らかだ。我々としては、ロシアやウクライナについて云々するよりも生活や仕事に与える影響を正しく見抜いて対策を立てるほかないのだが、その情報が入手しづらい状況になってしまっている。

 

 もちろんロシア国営メディアの発信する情報が正しい、というわけでもない。しかし、双方がある問題についてどのような発信をしているか、ということから真相が明らかになってくる、という観点からすれば、広く様々な視点・立場からの情報に自由にアクセスできる状況が維持されるべきだ。そして、TwitterYouTubeFacebookなどのSNS上では自由に情報にアクセスできる状態ではもはやない、ということだ。これはこれらの会社が所詮は広告業であり、広告主=スポンサーにとって不都合な情報は表示しないというビジネス上の判断であって、それ自体は責められたものではないだろう。

 

 だから有料の文章や書籍を買えばいいかといえばそういうわけでもない、というのがまた難しいところで、書籍として販売するからにはある程度採算が取れる見込みがなければ成立せず、一般的に認知されている内容の情報でなければそもそも本が売られていても読者がつかない。というわけで、大手マスコミの報道に乗っかる形で、既存の世界観や価値観を追認する内容の本ばかり出ることになる。その中からどういうものを選べばいいのか・・・という新たな問題が噴出するのである。

 

 そういう問題を一挙に解決する方法は、「インターネットで海外のサイトを見る」ということに尽きる。海外のサイトといっても玉石混淆なので、私が考えているのはその国の公的機関が発信している情報だ。たとえば今回の問題でいえばロシア外務省やウクライナ外務省、アメリカ政府やドイツ政府の声明やプレスリリースなどだ。報道機関のネタ元もたいていはこういう公式発表なので、報道を見てあたりをつけ、情報元に自分でアクセスして見ることが、理論上は一番信頼できると思う。もちろん日々どれくらいそういう活動に時間を割くか、というのは個々人の状況に応じてという話になるが。

 

 そしてできれば英語に翻訳されたものや、グーグル翻訳で日本語にしたものではなく、原文を読めるようになりたい。英語や翻訳ではニュアンスが異なってしまうからで、例えば日本語の文章を英語に訳して、意味としてはまあまあ同じでも言いたいことが言い尽くせているかといえば微妙になるだろう。ロシア大統領府はプーチンの演説の原稿を英訳したものを載せているが、これよりはロシア語の原文に当たるべきだろうし、ましてやグーグル翻訳では大まかなことしかわからないだろう。

 

 かといって、無限に語学を勉強するわけにもいかない。日々自分の生活や仕事もある。どの言語をやればいいのか?ということになるだろう。私の考えとしては、これから勉強するべき言語としては①ロシア語②アラビア語③中国語だと思っている。

 

 アメリカの覇権が終わったあとはロシアと中国の時代が来る。これはほぼ確定で、この前提が受け容れられないなら、私の文章を読むのをやめて全財産を米ドルに換えてS&P500のETFでも買えばいいと思う。答えは市場が出すだろうから。私は経済学部出身なので、神学論争やイデオロギーには興味ない。あれこれ空理空論を並べ立てても、経済の実体に優る理屈はありえないと思っている。ロシアと中国が経済大国になった場合に、日本企業でも対ロシア・対中国ビジネスが活発になり、ロシア・中国の政府や大企業からロシア語・中国語で発信される情報を正しく読み解けることが非常に重要になってくる。

 

 また、アラビア語はなぜかというと中東・北アフリカで今後経済成長が見込まれるからだ。さらに2050年にはムスリムの数がキリスト教徒を上回るという可能性も指摘されており、アラビア語の重要性が増してくる。さらに日本語・英語などで得られる情報はほとんどがキリスト教圏におけるものだが、アラビア語ができればムスリムから見た世界情勢、つまりディープな情報が取れるようになる。単純にアラビア語の翻訳とかだけでも十分食えるようになると思うが、そういう楽しみもある。

 

 あるサイトに、日本国内で各言語を学習している人の数を推定しているものがあった。このサイトによれば、アラビア語の学習者は500人前後、ロシア語の学習者は1,000人前後、中国語は3万人程度となっている。中国語がおすすめ3位なのは他に勉強している日本人が多いからだ。アラビア語・ロシア語は学習のコストは非常に高く、参入障壁がかなり高いので、一旦身につけてしまえばかなりアドバンテージになるだろう。

 

 ではどのように学習すればいいのかということだが、基本的には

 ①文字を覚える(アラビア文字キリル文字

 ②例文をひたすら暗唱、暗唱しながら紙に書き出す

の繰り返しである。別に高価なスクールやマンツーマンのレッスンを受ける必要はない。ちょうど寺子屋論語を暗唱するように、原文をただただ暗唱すればいいのである。アプリとかパソコンさえ必要ない。

 

では何をとっかかりにすればいいかといえば、東京外国語大学でテキストや音声が公開されているもの(東外大言語モジュール)があるので、これを用いると良いだろう。慣れてきたら、好みの新聞記事や政治家の演説なんかをネットで拾ってきて、それを暗唱・暗記する。

 

東外大言語モジュール

 

 このサイトを見ながら、例文を自分で書き出し、暗唱する。こういう地道な学習が結局は一番役に立つ。とはいえ、アラビア文字キリル文字はとっかかりが難しすぎると思うので、いくつか入門的な動画を私も作ろうと思うが、基本的な学習の方針は今回述べたとおりである。