ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

プーチンの10年越し意趣返しとしてのドンバス

ガス価格が急騰している。1,000立方メートル当たりの価格はヨーロッパで960ドル以上に上昇した。ドイツの電気料金を指数化したGSCI German Powerを見ると、2020年ごろには100程度で推移していたものが直近では487となっている。ロシアがドネツク民共和国とルガンスク人民共和国を国家承認してまもなく、ドイツがノルドストリーム2の稼働承認手続を止めると発表した。だがドイツの経済大臣ロベルト・ハーボックは、「認証プロセスの停止は必ずしも交渉のテーブルから離れたことを意味するわけではない」とやや逃げのコメントもしている。もうしばらくしたら「やっぱり認証プロセスを開始する」となるだろう。インフレはどこの国でも民衆の財布にダイレクトに響き、口先で何を言っても解決しない問題だ。実体経済の破壊が人々に政治やマスコミのウソや詭弁を気づかせる契機になる。(Gas prices in Europe surpass $960 per 1,000 cubic meters)(Germany says it can do without Russian gas, but that won’t be easy

 

ところでドネツク民共和国とルガンスク人民共和国の独立宣言とプーチンの国家承認を西側メディアや政治家は「国際法違反だ」といっているが、これは明確に誤りだ。2008年2月にコソボセルビアから独立した際に、国際司法裁判所はその一方的な独立宣言を「国際法に違反しない」と判示した。このときにアメリカはコソボの独立を支援し「新たに独立した地位からの撤退は考えていない」と述べたのが当時の米国副大統領ジョー・バイデンだ。2009年4月19日にアメリカから国連に送付された声明によれば、「独立宣言はしばしば国内法を破るが、これは宣言が国際法違反となることを意味しない」とあり、それに対する国連の返答は「一般的な国際法は独立宣言に対して如何なる禁止もしていない」というものだった。プーチンが2014年にクリミアで行った共和国の独立から住民投票ロシア連邦併合の流れは、こうした判決を逆手に取ったものだ。今回のドネツクとルガンスクも独立とその国家承認というフェーズに来たので、やがて住民投票からロシアへの併合という同じ流れを辿ることだろう。一連の動きはプーチンの10年越しの意趣返しだ。(Kosovo's independence is legal, UN court rules)(Putin Uses Rule of Law to Win Ukraine

 

西側も反撃しており、EU、イギリス、アメリカがロシアに対する制裁を発表した。イギリスの制裁の内容はロシア人3名(ゲンナジー・ティムチェンコ、ボリス・ローテンバーグ、イゴール・ローテンバーグ)に対する渡航禁止及び資産の凍結、5つのロシアの銀行(バンクロシア、黒海銀行、ジェンバンク、ISバンク、PSB)の在英資産の凍結である。アメリカでもバイデン大統領は「これはロシアのウクライナ侵攻の始まりだ」と述べ、ロシアの金融機関とオリガルヒを対象とした経済制裁を発表した。ロシア国営銀行のVEBと、プロムスビャズバンク(PSB)に対し、在米資産の凍結、アレクサンドル・ボルトニコフとその息子デニス・ボルトニコフ、セルゲイ・キリエンコとその息子ウラジーミル・キリエンコ、そしてピョートル・フラドコフが対象となる。フラドコフはPSBの会長兼CEOであり、アレクサンドル・ボルトニコフはFSBロシア連邦保安庁)の責任者だ。セルゲイ・キリエンコは1998年にロシア首相を務めていた。PSBはメドベージェフが取締役を務める銀行でもある。(UK hits Russian oligarchs and banks with targeted sanctions: Foreign Secretary's statement)(The social media CEO, the bankers and the banks: Biden sanctions two financial institutions and three powerful businessmen whose fathers are key Kremlin insiders

 

そんな中、ウクライナで大規模なDDos攻撃が行われ、政府機関のウェブサイトや銀行が被害に遭っているようだ。ウクライナでは少し前からサイバー攻撃が続いている。

ウクライナでは非常事態宣言も出されたが、国家安全保障防衛会議のオレクセイ・ダニロフ書記はわざわざドネツク民共和国とルガンスク人民共和国は2014年から非常事態宣言が導入されているから対象範囲ではないと言及した。宣言の内容は、自家用車や船舶などによる移動の制限、外国人の国境付近の滞在への制限、ラジオ局の使用制限、ウクライナ国境警備隊に属する物体の動画・画像撮影の禁止が含まれ、大規模な集会やストライキの禁止も含まれる可能性があり、必要に応じて夜間外出の禁止も含まれうる。2月24日の深夜から開始され、30日間にわたり発令される見込みとなっている。(Ukraine State Of Emergency Bans 'Mass Gatherings', Could Impose Curfews

 

毎回書くが、いずれにしてもインフレや食糧危機が訪れることはほぼ確実だ。インフレはすでに相当酷いレベルになってきている。アメリカでもフリーダムコンボイが始まり、徐々に物流が滞っていく。すでにアメリカのスーパーでは棚から商品がなくなって、数少ない商品にも盗難防止のためにカギがつけられるという状態になっている。また情報規制も厳しくなっていくことが予想される。すでにYouTubeでは、コロナやワクチン関連の話題は完全に排除されてしまっている。いつ動画の規制やBANが別のテーマに課せられるかわからないので、情報収集・発信のためにもオルタナティブ系のSNS、動画サイトに徐々に移行していく。YouTubeはおすすめ機能で動画を拡散するのには向いているのでYouTubeの動画投稿も継続するが、一ヶ月くらいかけてmediable、Gettr、Fantiaに切り替えていく。(https://mediable.jp/channels/8f3369ff-8846-4b46-9aca-fd64bb5fa424)(https://gettr.com/user/ks_in_gettr)(https://fantia.jp/fanclubs/314556