ユーラシア経済ニュース

日本であまり報道されない、ユーラシア大陸の経済ニュース記事を翻訳して紹介しています。

世界中が反ロシアなワケがない

ロシアの国営ニュースメディア・RTのウェブサイトが頻繁にダウンしており、サイトに直接アクセスできない状態が続いている。スプートニクやTASS、コメルサントやロシア企業の公式サイトも同様だ。URLをクリックしてもサイトの記事そのものが閲覧できないので、テレグラム(Telegram)のRTチャンネルやスプートニクチャンネルから取得した情報を元に記事を書く。これらの投稿にもリンクを貼ることはできるのだが、テレグラムを入れていない場合にはアクセスできない。記事の執筆中にもアクセスできたリンクについては記事に掲載するが、それ以外はテレグラム情報ということで理解して頂ければ幸いである。(RT News/Telegram)(RT Russian/Telegram

 

このようにロシアに対する制裁・攻撃が激烈を極めている。SWIFTからの排除などの経済制裁に関してはほとんど実効性がなく、原油高やゴールド価格の上昇を通じてロシアを強くするだけだが、こうしたインターネット上の情報の遮断は私のような情報収集者にとっても迷惑な話だ。Twitterでもスプートニクなどの投稿には警告が表示され、いいねやリツイートをしようとするとさらに警告が表示される。EU域内ではRTのYouTubeチャンネルも閲覧できない状態になっているらしい(日本からはいまのところまだアクセスできる)。スプートニクEU圏で禁止され、スペイン、フランス、ドイツ、ギリシアで放送が停止された。グーグルのサービスもウクライナ国内でダウンしているという情報がある。GmailYouTubeがアクセスできない状態になっているようだ。

 

スプートニクはTelegramに、EU域内に住んでいる人に対してVPNを使ってサイトにアクセスする方法を解説した画像を投稿しているほか、RTはオルタナティブの動画投稿サイトであるRumbleにチャンネル開設を発表した。これはロイターも報道している。だがふつうに暮らしてネットのニュースを見ているくらいの人は、わざわざVPNでロシアの国営メディアにアクセスしたり、テレグラムをインストールしてRTのチャンネルに登録したりしないだろう。一方的に西側の情報で、ロシアが悪の帝国にされ、プーチンがバイデン以上の精神異常者に仕立て上げられていく。ひどい情報統制で、なぜこれに左派は異を唱えないのだろうか。統制が酷くなればなるほど、偽善と欺瞞がよりあからさまになっていく。(Russian news channel RT to broadcast on Rumble after Big Tech curbs)(RT_Rumble )

 

さて以上のような形でロシアに関して西側以外の見解や情報を集めることが難しい情勢になりつつある。日本のメディアでは世界中が反ロシアになっているかのような報道ぶりだが、もちろんそのようなことはなく、世界にはさまざまな立場の国や地域がある。

 

ブラジルのボルソナロ大統領は、ロシアから輸入する肥料が同国の農業生産に必要不可欠であるということに触れながらウクライナ問題に関しては中立の立場を取ると宣言した。中国は、ドネツク民共和国・ルガンスク人民共和国の独立については支持していない。これは台湾の対中独立派を勢いづかせることを防ぐためだが、国際的な制裁に関しては反対し、ガスの取引は継続している。ロシアと中国の取引は、ロシアが原油天然ガスを送り、中国が金を輸出するという形の実質的な物々交換に近くなっている。またメキシコのロペス・オブラドール大統領も3月1日に対ロシア制裁に加わらないことを表明し、Twitterでロシア国営メディアのツイートに警告が表示されていることについても「検閲だ」と述べた。これは日経も報じている(笑)。アルゼンチンもウクライナでの平和を呼びかけているが、一方的な制裁が平和につながるとは思えないと述べた。南米はアメリカの欺瞞をよく知っているからこうなるに決まってるだろう。(メキシコ大統領「ロシアに制裁科さない」 野党は批判

 

インドはロシアとの関係が深く、インド軍の戦闘機の半数以上、戦車のほぼ全てがロシアから輸入したものだ。中国との対抗上、ロシアから武器を購入するルートが絶たれることはインドにとって非常にまずい。さらにパキスタンとの国境紛争もあり、パキスタンはCPEC(中国パキスタン経済回廊)で協力関係を深めるなど中国と近い国だ。パキスタンのカラチ港などは、中国にとって米国の勢力圏である東側の沿岸部やインドを迂回して港湾に出るための重要な拠点で、CPECは2020年に620億ドル規模に拡大し一帯一路構想の重要な構成要素と看做されている。ビル・ゲイツは2月17日にパキスタンを訪問し、イムラン・カーン首相と会談、「向こう数年のうちにポリオを根絶できるだろう」と語ったという。ロイターが報じている。どうやらパキスタンはグローバリスト側の国になっているらしい。(Bill Gates visits Pakistan, says polio eradication possible in a few years)(India Avoids Condemning Putin to Get Weapons for China Fight

 

トランプ大統領は「私が執務していれば、この血に塗れたウクライナの状況は決して発生していなかっただろう!」と自身のテレグラムチャンネルに投稿。2月23日の投稿では、「バイデン政権でオイル価格は高騰し、ロシアはずっと金持ちになった。トランプ政権のもとではアメリカは独立したエネルギー供給を実現しており、オイル価格もずっと安かった」と述べた。(Donald J.Trump/Telegram

 

主要SNSでの統制が厳しくなればなるほど、プラットフォームは自滅的に衰退していくだろう。自分でさまざまな情報源に当たって検討・検証していく姿勢が必要不可欠だ。